幸せな男
203X年、Sは50歳で生涯の幕を下ろす事になる。
死ぬ直前、Sは思った。
俺はこれまですごいたくさんの時間を犠牲にして仕事をしてきた。チャレンジもした。
失敗もあったけど、人に恵まれ、それなりに財も成した。
働き始めて...そうか、30年くらいか。
世の中もずいぶん変わったっけなァ。
ここ数年はGoogleの自動運転車に乗って毎日好きなところに出かけるのが楽しかった。
車内は快適でネットショッピングするのが特に楽しい。アレが欲しいなーって車内で呟くと的確な広告が上手い事飛んでくるんだよね。
買い物はルーチン化させている。
週の初めは1週間の食材や日用品を洗い出してAmazonで全部揃える。
服は全部ZOZOTOWN。おしゃれには興味ないけど、いろいろ提案してくれて楽だよね。
1番の贅沢な娯楽といえば、宇宙旅行。ホリエモンのロケットで宇宙まで行ったな。
自分の想いをSNSで呟いてたら賛同してくれたどっかの金持ちが出資までしてくれたっけ。
いやー、楽しい人生だった。
おや...そろそろお迎えかな... 最後に、神さまお願いです。
来世はインターネットのないどっかの山奥に生まれますように。
Sはゆっくり目を瞑った。