鍬農雅友blog

32歳/都内在住/読書がライフワーク

帳簿の話

イタリアの商人達はどんぶり勘定だった。

 

今、当たり前にある「会計」という概念がなかった遠い遠い昔の話。

 

商人「帳簿をつけるだぁ?てやんでぇ、そんな面倒な事俺がするけぇ、でぇじょうぶだ。」

 

多分、当時の八百屋なんかは昼間っからビール片手にこんな感じで呑気に商い展開していたのでしょう。

 

いつしか気が緩みに緩み、ピンハネや税金逃れが人々の習慣となっていきました。真面目にやってる側もだんだんバカらしくなっていき、1人また1人とメモ(帳簿をつける)を怠る人が増えていきました。

 

社会全体でお金の管理が煩雑で、だらしなかったのです。

 

しかし、いつの時代も「その時代の当たり前」をひっくり返してくれるキーパーソンがでてくるもの。それが数学者ルカ・パチョーリでした。

 

彼が行ったこと。

とにかく、毎日毎日ひたすら帳簿をつける。

 

そのうち、

「おーい、パチョーリ!飲みに行こうぜ?」

という友人の誘いも断りるようになりました。理由は2つ。

 

1、酒を飲むより俺にはやりたい事があるんだ、と強い使命感があった

2、酒を飲むと会計業務に支障が出る。それに気づいた。

 

そう、パチョ坊はこのようにクソ面白くもない、生真面目男だったのです。

 

彼は、後に会計概念の原点となる「スムマ」を書き上げました。

 

スムマには「商人の心得」から「帳簿を誤って付けてしまった場合の手直し方法」まで事細かに記し、商人が会計の基礎を身につけられるようパチョーリは意識して出版しました。

しかし当時の流行にうまく乗せられず、残念ながらイタリアからではなく、のちにオランダの商人から社会に浸透する形となりました。

 

・ルールに沿って、作業を淡々と熟すこと

・ミスをしないこと

 

会計士に求められるスキルはコンピュータが一番得意なやつです。

 

今では「AIに置き換わるであろう仕事リスト」の1つになってしまった会計職もパチョーリの功績なんだな、というのが非常によく分かる楽しいお話でございます。

 

「スムマ」って和訳本はないようですが、どうやら会計の手ほどきだけでなく精神論も盛り込んであるようです。

 

「会計とは気合いである。」

 

多分、序章の第一文はこんな感じやろな。

 

 

※ 注意 パチョーリの友だちの誘いを断る記載は一切事実無根です。スムマはホント。 

 

帳簿の世界史