鍬農雅友blog

32歳/都内在住/読書がライフワーク

ラジオ体操の話

夏休みを大きく妨害してくる要因に「宿題」があり、その次にくるのが「ラジオ体操」だ。

 

今思えば、何も考えずに毎日6時に起きて、よく通ったな。

ラジオ体操をさせる学校側の魂胆は、おそらく「早起きの習慣を崩させないため」なんでしょうね。僕の家はラジオ体操が行われる広場まで自転車で15分くらいの少し遠いところにあり、毎日嫌で嫌で仕方なかった。

 

休み明けにはちゃんと通っている証明としてスタンプカードを提出しなきゃいけないですよね。リーダーっぽい人が体操の後にスタンプを押してくれて、一杯になっているかを先生がチェックする。

 

そういえば体育の授業さえも運動会前に限って、ラジオ体操のやり込みで潰れることもあったなぁ等、正直ラジオ体操に良い思い出はあまりない。

 

深掘りしても何の意味があるのか全然わからんのですが、ラジオ体操を調べたがる人、そして実際にしまった人がいるんです。世の中は広い。高橋秀実という人が書いた素晴らしきラジオ体操という本を紹介します。

 

都内にある約270箇所のラジオ体操広場に自ら行ってラジオ体操をする。そして話を聞く、という本なのですが、結構面白かった。

 

 

日本はラジオ体操国家である。

一番最初は、メットライフ生命という民間の保険会社がNHKと共同で「国民の健康増進」を表向き、裏では「広告戦略」として始まり、1935年時点で7000万人超えの人がやっとるそうです。

 

もうそれから100年近く経ってるから、もっと多いはず。

今は学校でやらされるので日本人はほぼ全員が一回くらいはラジオ体操やってますよね。僕らは保険会社からスタートしたPR運動をジャンジャンやっとるわけですわ。

 

「健康になったんだ!」「ラジオ体操が生きがいなんだ!」

毎朝6:30、ラジオの前で待ち構えて、5分体操をして帰る、これがルーチンのお年寄りからは、こんな前向きな声が聞こえてきそうでホッコリする。まぁ、僕はいかんのですけどね!

「思い込み」って身を支えるときがあるものですよね。

 

ただ、本を読み終わる頃、僕のようなヤツが人生の後半に「やっぱラジオ体操やなー!お前もやれよ!」と、煙たがる周りを巻き込みながら、ジャンジャンやってそうな気がして、なんだか切なくなった。

  

素晴らしきラジオ体操 (草思社文庫)