ネットワークビジネスの話
先日、僕が大好きな新宿のプチ文壇バー月に吠えるで、とある作家に会いました。
会ったと言っても、話もせず隣で飲んだだけですが、その人はソーダ水を頼んで15分くらいで帰って行ったんですね。
バーテンダーさんは持ち前の饒舌さを失って終始緊張でソワソワしていました。
お帰りになった後に教えてもらったんですが、さっきの人は売れっ子の小説家だと。
ちょうど僕が面白そうだなとアンテナを貼っていた本の作家だったので早速読みました。
タイトルは「ニューカルマ」。
不景気に煽られるメーカー勤めの竹田優希がネットワークビジネスにハマっていく小説です。
僕が大学の頃、確かすごい流行りました。
学校から警告が出されるほど流行ってたみたいで、「個人事業主になろう」的な感じのセールストークで歩み寄ってくるアレです。
僕自身も勧められたことがあって、確か当時はロバートキヨサキの「金持ち父さん」という本を見せられながら、
世の中には3つのタイプがいる。労働者、経営者、投資家。
みたいな感じの円グラフを見せられました。
夢はあるのか?目標はなんだ?現状に満足しているのか?といった質問を浴びせられて、
労働者にはなるな、経営・投資側にまわれ。一緒に夢を掴もうぜ。
まずはセミナーに来い!
といった感じで口説かれます。
当時「お前それ友達を失うぞ、すぐやめろ」って打ち返してバチバチやったんですが、それ以来、その子とは疎遠になってしまいました。
一体どう返せばよかったのだろう。。
この「ニューカルマ」にも僕のような反発する"見込み顧客"がでてきます。
ネットワークビジネス布教側のリーダー石黒は、こういったリストに対して、
「とにかく無視して電話をかけ続けて人と会うのです。あなたの幸せはその先にあるのですから」
といった感じで、会員獲得を促します。
この本の面白かったところは、当時の自分の経験と照らしあわせられて
あぁなるほど、そういう感じで洗脳するのか、と裏っ側が見えたところがありました。
それと後半で出てくる木村社長のセリフが印象的です。
「大事なのはお前が救われているってことだろうが」
「派遣社員辞められて、ハワイ行けて、お母ちゃん温泉旅行連れて行けて」
「タワーマンション住めて、みんなにチヤホヤされて、そんで市長の友達見返せて」
「全部お前の望んだもんじゃねえかよ、タコが。お前のしみったれた偽善で手に入んのかよ、それ」
ネットワークビジネスから足を洗ったつもりで、竹田が新しく就職した株式会社ニューカルマ。またこれが怪しいサプリを売る会社なんですね。社名から怪しいんだけど。笑
お客さんを苦しめる商売にはもう二度と手を染めたくないと思う主人公に放った社長のセリフです。夢見てんじゃねぇよ、現実を見てみろと。
なんだかカイジみたいだな(**)
地道に頑張るって、やっぱ大事ですよね。
面白い一冊でした。