鍬農雅友blog

32歳/都内在住/読書がライフワーク

ハイボールの話

ハイボールを1つ。」

 

本当は1杯目はビールを飲みたいんだ。

風呂場の鏡に写った自分のだらしない裸体が店先で頭をよぎる。

最近の宴会は葛藤からスタートする。

 

今まで通り、食べたいものを赴くまま食べていると体が維持できなくなってきた。

 

年と共に失っていくもの、得られるもの。諸行無常

そうか昔、諸先輩方が言ってたのはこういう事だったのかと、こっそり噛みしめている。

 

やはり「謙虚に人の言うことに耳を傾ける」という事を怠ってはいかんですな。

 

体重が増えたことでまさかこんな大きな課題が見つかるとは。

まずは足元の課題から向き合わんと、、(゜゜)

 

 

今日は会社の先輩でもある、いけのりパイセンのYouもMeも宇宙人を読み終えたので紹介。

 

テーマが「宇宙」。

とっつきやすい独特の文体と、中身の情報量の多さの大きなギャップを楽しめる1冊である。むちゃくちゃ難しい内容を噛み砕き、さらにそれを炊き上げたかのようなおかゆのような本。誰でもわかるレベルで書いてある。

 

一読して頭に残ったキーワードは2つ。

色々書いてあったけど、ほかは横文字多くて激しく忘れた(゜゜)禿忘  

 

1. 彗星パンスメルミア説

昔、進化論で有名なダーウィン博士を否定した1人の科学者がいた。

名前はホイル博士。博士はとある夜に、星空を見ながらこう叫んだ。

 

「そうや彗星や。彗星に生物がおるんや。地球の生物も彗星から来たんや。ユーリカ!!」

  

叫んだのは嘘ですが

真面目に書くと、宇宙から地球のような惑星に生命の源が運ばれてきている説がかなり有力とな。不思議な話。

 

2. 世界最強の動物は「クマムシ」である

世の中には20年くらい冷凍保存しても死なない「クマムシ」という虫がいるらしい。

とにかく人間では絶対に耐えられない環境でも生きられる生物ということで、地球のような大気がなくとも宇宙には同じような劣悪な環境に生きる生物がたくさんおるかもしれませんな。

 

本に引用されている量が半端じゃ無いのと、最後に虫食い問題用紙で振り返りまで用意してあって至れり尽くせり。

 

ええ、ええ。

パイセンも処女作とのことで、次の作品に期待カモの長明。

  

だんだんと暑くなってきた。

今年はMy七輪を買う。

 

 

幸せな男

203X年、Sは50歳で生涯の幕を下ろす事になる。

 

死ぬ直前、Sは思った。

 

俺はこれまですごいたくさんの時間を犠牲にして仕事をしてきた。チャレンジもした。

失敗もあったけど、人に恵まれ、それなりに財も成した。

 

働き始めて...そうか、30年くらいか。

世の中もずいぶん変わったっけなァ。

 

ここ数年はGoogleの自動運転車に乗って毎日好きなところに出かけるのが楽しかった。

 

車内は快適でネットショッピングするのが特に楽しい。アレが欲しいなーって車内で呟くと的確な広告が上手い事飛んでくるんだよね。

 

買い物はルーチン化させている。

週の初めは1週間の食材や日用品を洗い出してAmazonで全部揃える。

 

服は全部ZOZOTOWN。おしゃれには興味ないけど、いろいろ提案してくれて楽だよね。

1番の贅沢な娯楽といえば、宇宙旅行ホリエモンのロケットで宇宙まで行ったな。

 

自分の想いをSNSで呟いてたら賛同してくれたどっかの金持ちが出資までしてくれたっけ。

 

いやー、楽しい人生だった。

 

おや...そろそろお迎えかな... 最後に、神さまお願いです。

 

来世はインターネットのないどっかの山奥に生まれますように。 

Sはゆっくり目を瞑った。

リスクとハザードの話

1月某日、区役所で順番待ちをしていると、フロアにいる人達の携帯アラートが一斉に鳴り出した。

 

区役所ともなると緊急時には館内アナウンスがあるらしい。

津波の心配はないようだが、僕はソワソワ感がなかなか抜けず、ツイッターやニュースサイトをしばらく横断的に眺めた。

 

地元熊本が被災して以来、「臆病者の性格」に一層拍車が掛かり、地震に対しては自分から色々と調べたり、アンテナを立てている。

 

その過程で、地震は広告商品と性質がよく似ている事がわかった。

 

過去に効果が出ても(地震の最新理論を説かれても)、実際それが今後どんくらい効果をもたらすのかは誰にも分からない。

そして、やってみた(地震が起きた)後に蓋を開けてみて、どんなもんだったのか確かめなければならない。

どうやら、そんなものらしい。

 

書店にならぶ学者さんの本も背伸びして買ったが、著者の自己満足に近い知識無双本や、高校の物理の教科書を引っ張り出してこないと前に進めないような本がほとんどで時間がかかりそうである。恥ずかしい話、僕が全く理解出来なくて積読になってしまった。

 

ただ、全く違う切り口の本を読んでいた時に心がスッと楽になった1冊がある。

加えて、大分わかりやすい。森達也さんのニュースの深き欲望という本である。

 

ざっくり書くと「ニュースや報道はこんな感じで捉えて見なはれ」という本で、終始濃い疑似体験が出来る。面白すぎて一気に読んだ。

 

この本には「リスクとハザード、これらは常に別々に考えなければならないものである」と書いてあった。

 

この時点で既にピンと来た方は、相当頭の中が整理されているスマートな方だと思う。 

僕は何度か読み返しても、しばらく意味が全然わからなかった。

 

実際に本書内で取り上げられていたマムシの例を記載する。簡単な文章だけど僕は何回も読んだ。

 

ーー

マムシは危険でハザード(毒性)が高い。なので常に警戒してゴム長靴をはいて生活をおくる必要があるか、というとない。 なぜなら都心部には生息していないし、田舎でも滅多に遭遇しない。つまりリスク(危険性)は低い。

 ーー

 

という話。うーん、これだけだと何だか分かるようでわからない。


本書にもあるが、北朝鮮のミサイルで置き換えると分かりやすい。

結論からいうならば北朝鮮弾道ミサイルは打ってきても僕らが気にする必要はほとんどない(もう打ってこない宣言?だしたみたいだけど)。

なぜなら、リスクもハザードも低いからである。

 

まずリスク(危険性)が低い。元々弾道ミサイルの発射実験として海に落とすことを狙って打っているものなので、自分達のところに飛んでくる可能性が相当低い。

とはいえ、何らかの誤差で日本列島に落ちたらどうするんだ、という意見もあるかもしれないが、こんな事を考えるより毎日の車の通勤で交通事故に遭遇する可能性の方がはるかに大きい。

 

次にハザード(毒性)も低い。ミサイルに踏襲されている火薬の量を考慮すると小〜中規模のビルをようやく1つ破壊できるくらいの威力しかなくて、仮に自分の隣の隣くらいの建物に落ちてきても自分に被害が出る可能性が低い。

 

だからといって、ミサイルなんて全然こわくねーぜ!さぁ打ってこいよ!という話ではなく、この「リスク」と「ハザード」の2つは常に整理して考えとかないと、いざというとき冷静な判断が出来なくなるよ、という話である。

 

僕は地震の報道や警報音だけを見聞きして、ただ反射的に恐れ、考えられなくなっていたのである。

一生懸命考えているつもりでも、全く頭が機能していない時って皆さんもご経験おありじゃないだろうか。

僕の他の例を出してみる。


クライアントや上司に怒られて上の空状態、小一時間無駄にした。


デートプランを考えに考えすぎて、立ち食いうどん屋(訳の分からないところ)に連れて行こうとした、


などがある。

立ち食いのうどん屋は事前にデートプランを相談した女性陣に全力で止められ、一命を取り留める事が出来た。冷静に考えて、うどん屋はリスクの塊である。


本書を読んで心穏やかに冷静なジャッジを下せる大人になりたいと強く思った。


余談だが、この記事を書き始めた今朝、僕は札幌で朝を迎えた。


パン屋さんが連なる円山公園駅というところに早起きして向かい、GW期間中も頑張るパン屋さんに行った。

パン屋さんの仕事っぷりにももちろん満足したけど、椅子とベンチ、オマケに屋根まで無料で用意されている札幌の街に僕は強く感動した。雨が降り出して、パン買ったはいいけどどこで食うねん、と困っていたところにスッと用意されていたのである。

 

忘れていた。

何かとお金を持ってかれる東京の外にはこんな素敵な「人のためだけを思う」空間が用意されていることを。熊本も福岡もそう、普通にあったわと。

 

なーんだ、お金払ってスタバ行かなくていいのか、と思うと何だか心が随分軽くなった。

 

リスクとハザード、本当はこんなしち面倒な事を考えなくていい世の中を僕らは作らないといけないのかもしれない。

 

 

銀座の話

同窓会に参加した時、やたらお酒を振る舞うのと会話が上手な女友達がいた。

 

普通の大衆居酒屋なのに、店員さんが持ってきたお冷をいちいちマドラーで混ぜて渡してくれたり、僕のコップに露が付くなり絶妙のタイミングでお絞りで吹いて渡してくれる。

 

そして他人の話を引き出すのが異常に上手い。

アハハ!そうだよねーと僕の話に合わせながらも、反対側で隣の男のタバコに火をつけている。その間「こいつ話全然聞いてねぇな」と思わせる素振りが全くなく、嫌気が感じられない。

みんなはあんまり気づいていないけど、場は完全にこいつに制圧されている。キャバクラ嬢か?なんか違うような。

 

僕は只者じゃないだろうと問いただした。

隠すことなく教えてくれたが、数年間東京・銀座のホステスとして働いていたという。

「家賃は自分の歳と同じくらいのところに住んでたねー」といい、仕事上のお付き合いやストレス発散でお金をたくさん使ってしまい、貯金はないらしい。

 

学生時代は一回り上の人と付き合ったり、マセガキでテングなやつだなと思っていたが、角が取れてすっかり大人の女性になっていた。同級生ながら関心した。

そして常に2手3手先、周りの事を考えて動ける彼女が光って見えて、すごい遠くにいる気がした。

 

「銀座はすごい街よ」

彼女はそう言う。僕の場合は、勤め先が東銀座にあったのでたまたま毎日銀座近辺の街を歩くことが出来た。

銀座の「昼の顔」しか知らないので、彼女の半分も知らないはずだが、すごい街というのは同感である。

 

銀座は全体的に気品のある街である。

過去4年間「渋谷」勤務していたので、渋谷との違いはよく分かる。

客層が全く異なり、「◯◯デモ隊」や「ハロウィンの仮装パーティ」も見ないし、年末年始のカウントダウンも行われない。朝方酔いつぶれて道に寝ている人もいなければ、強面の客引きの兄さんもほぼいない。

  

銀座の街は、夜な夜な着物を来た人が現れる。

位(くらい)の高そうな人が、そういうママのいる店にスッと入っていく。うわーどんな人が入ったんやろうと、つい貧乏根性でジロジロ見てしまう。

 

それから銀座といえば、やはり高級鮨屋だ。

正直、夜は目が飛び出るほど高くて、僕は恐ろしくて入れていない。

ただ、ランチはそうでもない。¥2,000 〜 ¥3,000くらいで食べられるので行くならランチがおすすめ!

 

ちなみにお昼の銀座は中国の「爆買いの人たち」で街中いっぱいになる。

一昔前と比べると減った気もするが、露骨に中国の人たちが多い。

 

中国の人たちのお買い物事情として、本日も一冊ご紹介したい。なぜ中国人は財布を持たないのかという本である。

中国って日本以上にキャッシュレス化(スマホ決済サービス等)が浸透している。

ぶっちゃけ発展途上国と思っていたが、もう日本の方が大きく遅れている事に気づかされた。

 

中国では一部の地域では現金が使えない店もある。

キャッシュレス化に対して抵抗がない民族のようで、日本人はまだまだ現金派の人が多いように感じる。

 

面白いサービスだと思ったのは、飲食店のチップをスマホで支払うサービス。

飲食店の店員がそれぞれ名札のところにQRコードを持っていて、スマホをかざすと支払われるようになっている。そもそも日本人よりスマホを駆使している割合が多いから、自転車シェアリングも強く普及しているようだ。

 

ちなみに僕は昔、お金がなさすぎてクレジットカードを限界まで使ったことがあって、キャッシュフロー地獄に陥り、なかなか現金を蓄えられなかったときがあった。。

 

カード決済だと若干まだ怖くて、もう少し自分自身にきちんとお金の使い方を叩き込ませようと敢えて現金派を貫いていますわ。恥ずかしい話なんですけど。

 

という銀座とキャッシュフロー地獄に陥って大変だった話でございます。 

 

東京の銀座もいいんですけど、熊本の「銀座通り」も超いいんで遊びに来てね(^^)

 

 

なぜ中国人は財布を持たないのか

桜の話

日本人は桜が好きである。

 

僕も好きだ。

ちょっと前なんて、桜見てもなにも思わなくて、風情のある景色や季節感というのに全く共感出来なかった。花より団子でしたわ。

 

去年のちょうどこの時期、都内の公園にピクニックに行きました。

お昼からビールとサンドイッチ、風呂敷を持って桜がたくさん咲いている場所をめがけて行ったんですね。杉並区にある和田堀公園という所です。

 

公園には家族連れ、外周を走るランナー、カップル、カップルっぽい2人等。

公園の空間だけが時間がゆっくり流れていて、天気もよし。

 

老夫婦が花畑で天を仰ぐ姿なんかも見受けられ、オイオイそのまま空に登って行くんじゃねぇかと、突っ込みたくなるポイントがありました。いつまでも長生きしてね!

 

この公園の湖には「カワセミ」という稀有な鳥がいて、バードウォッチングもできる。

 

入江まで足を運ぶと、70代くらいの男女15人くらいのカメラ部隊が、息を潜めて「タレント」が現れるのを待っている。

 1人がドジョウの入った桶をゆっくーり湖に放つと、カワセミパイセンがご登場なさり、わしわし食べ始める。それをバシバシ撮影する。

 

この日、初めて生カワセミをお目にかかりましたが、お鳥バードさまは大変お美しゅうございました。 撮影自慢大会も開催され、各々かっこいい写真を見せてくれて、楽しい体験となりました。

 

というわけで今回、桜の季節にちなんで、桜の科学という桜の本を読みました。

 

正直、この本はかなり難易度高めの内容である。難しかった。

学術的に10種類くらいに分類される桜は、これはこっちに属する、いやこっちだと私は思う、など一般人の我々には全体的にどうでもいい話が多い。

 

ただ、桜の木は非常にナイーブなものであることがよくわかった。

 

「桜切る馬鹿 梅切らぬ馬鹿」という言葉がある。

桜は環境の変化や害虫に弱く、少々の外乱で幹が腐りやすい。お花見で酔っ払って、枝を折っちゃうと、その切り口から木が腐りやすくなるため絶対にやってはいかんのだそうです。

 

僕があと50年生きれるとしたら、綺麗な桜の花を見れるのもあと50回しかない。

毎年あと何回かしかないこの時期を、より濃いものにしたいと思う方はチャレンジする価値のある1冊である。

 

桜、桜と散々書いたのですが、和田堀公園の帰りがけには新宿の思い出横丁で飲んだくれて帰ったんですけどね。ひひ。

 

花ヨリ団子デスな。

 

桜の科学 日本の「サクラ」は10種だけ? 新しい事実、知られざる由来とは (サイエンス・アイ新書)

 

 

 

 

 

屠畜とヴィーガンの話

福岡県の門司にある橋本食品という店を紹介したいのですが、この店は

 

「バーベキュー用の肉を10人分欲しい。1人あたり1500円分で。肉はカルビとロースと、ホルモンとウインナー、牛タンを入れて欲しいです。」

 

このように、好きな分量を店長チョイスでパック注文ができる。おまけにタレも付けて郵送して送ってくれる。まじで便利。

 

精肉店の肉はスーパーのと比べるとはるかに美味い。スライスされたタイミングが持ち帰る直前なので鮮度が保たれている。ここを知ってから、身内で行うバーベキューの時はスーパーではなく、必ずここで注文するようになった。

 

昨年の8月、奥さんのご家族のおもてなしとして僕が旗を振って、バーベキューをセッティングした話。10年ぶりなんですけど、昔よく利用させてもらってて、、」と切り出すと、電話口の店主はそれはそれは喜んでくれました。お金はもう後でいいんで、なんて言いながら結局頼んだ分以上の肉が届く。

 

「お肉屋さん」は歴史を遡ると悲しいエピソードが結構ある。

今はかなり減ったんじゃないか。肉屋・屠畜業を生業とする人たちへの偏見は、残念ながら古い人達を中心に根付き、なかなか結婚が出来なかったり、下の位に見られることが多いようだ。

 

屠畜と言えば、小学校低学年くらいの時に猟銃でハトを撃って食べる近所のおっちゃんにめちゃくちゃ怒られた記憶がある。僕は彼らにとって一番のタブーを言ってしまったのだ。

 

「かわいそう」

 

屠畜していただいている人たちに最も言ってはいけない言葉である。そして、もちろんお決まりの文句で怒られるわけです。

 

「そんなことを言ってはいかん!命をいただいているのだから」

 

最近は「ヴィーガン」という言葉がある。「菜食主義者」、いわゆる私たちは野菜しか食べません!という考え方を持った人たちで、「肉食」と対称的な人たちの事だ。

 

菜食主義ってどうなんでしょうか、野菜も命だろ?動物を絶命するのと何が違うのか?、という問いにはどのようにお答えいただけるのかしら。

ブログをお読みになったヴィーガン主義者の方がいらっしゃったら、是非コメントをいただきたい。

 

僕はやっぱり屠畜家の人たちに感謝しながら美味しいお肉を食べたい。

今後、僕自身が屠畜の仕事にはご縁があるかわかりませんが、世界の屠畜事情を取材した人の本を読みました。

 

僕はチェコのくだりが好きでした。

1990年代にEUに加盟するか否かは、食肉加工処理に携わる人達にとって死活問題だった。加盟するとチェコ産のあらゆる生産物がEU基準に合わなくなり、食品の提供ができなくなって食べていけなくなる人がたくさん出てきちゃうわけです。

さらにドイツに騙されて古い解体機械を買わされたりと、苦境に立たされるチェコですが、この国には「トラチェンカ」という絶品豚料理があるそうな。

是非、一度はチェコに行って食べてみたいと思った。

 

明日はいきなりステーキいくか。

 

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR (角川文庫)

 

 

ラジオ体操の話

夏休みを大きく妨害してくる要因に「宿題」があり、その次にくるのが「ラジオ体操」だ。

 

今思えば、何も考えずに毎日6時に起きて、よく通ったな。

ラジオ体操をさせる学校側の魂胆は、おそらく「早起きの習慣を崩させないため」なんでしょうね。僕の家はラジオ体操が行われる広場まで自転車で15分くらいの少し遠いところにあり、毎日嫌で嫌で仕方なかった。

 

休み明けにはちゃんと通っている証明としてスタンプカードを提出しなきゃいけないですよね。リーダーっぽい人が体操の後にスタンプを押してくれて、一杯になっているかを先生がチェックする。

 

そういえば体育の授業さえも運動会前に限って、ラジオ体操のやり込みで潰れることもあったなぁ等、正直ラジオ体操に良い思い出はあまりない。

 

深掘りしても何の意味があるのか全然わからんのですが、ラジオ体操を調べたがる人、そして実際にしまった人がいるんです。世の中は広い。高橋秀実という人が書いた素晴らしきラジオ体操という本を紹介します。

 

都内にある約270箇所のラジオ体操広場に自ら行ってラジオ体操をする。そして話を聞く、という本なのですが、結構面白かった。

 

 

日本はラジオ体操国家である。

一番最初は、メットライフ生命という民間の保険会社がNHKと共同で「国民の健康増進」を表向き、裏では「広告戦略」として始まり、1935年時点で7000万人超えの人がやっとるそうです。

 

もうそれから100年近く経ってるから、もっと多いはず。

今は学校でやらされるので日本人はほぼ全員が一回くらいはラジオ体操やってますよね。僕らは保険会社からスタートしたPR運動をジャンジャンやっとるわけですわ。

 

「健康になったんだ!」「ラジオ体操が生きがいなんだ!」

毎朝6:30、ラジオの前で待ち構えて、5分体操をして帰る、これがルーチンのお年寄りからは、こんな前向きな声が聞こえてきそうでホッコリする。まぁ、僕はいかんのですけどね!

「思い込み」って身を支えるときがあるものですよね。

 

ただ、本を読み終わる頃、僕のようなヤツが人生の後半に「やっぱラジオ体操やなー!お前もやれよ!」と、煙たがる周りを巻き込みながら、ジャンジャンやってそうな気がして、なんだか切なくなった。

  

素晴らしきラジオ体操 (草思社文庫)